· 

【小学5年算数】単位量あたりの大きさ~【中学数学】方程式(1次方程式、連立方程式)の文章題で式を立てられるようになるには?:最初から振り返ってみましょう

中学数学の方程式(1次方程式、連立方程式)の文章題で式を立てられるようになるには?・・・あるいは、中学・高校の理科の計算問題をこなせるようになる土台をつくるには?・・・ということを念頭に置いています。

 

代表して、「速さ」を中心にみていきましょう。

 

中学の数学に入ると、文字式を使って「速さ」に関する数値を表さなければいけない機会が増えます。

 

これらの問題ですが・・・ 


「単位〔速さ〕の意味」から、おこしていけば、何でもないです。(「速さ」の問題には、苦手意識が強い生徒さんが多いですが、意味さえとらえられれば、本当に何でもないです。)

 

とはいえ、それが難しという人も多いでしょう。

 

そこで、今回は、もう少しさかのぼったところから、この件について考えています。

 

方程式の文章題で式が立てられない方、また、簡単なものなら何となくはできるけど、もっと安定して解けるようになりたい、という方におすすめです。

考え方の土台となる部分を、算数からふり返っています。

 


キーワードは、「単位(単位あたりの大きさ)」です。

 

算数のカリキュラムは、この「単位〔あたりの量〕」を使いこなせるようになることを、1つの目標としています。また、それは「かけ算・わり算の使い方」ということもできます。

 

小学生のときには完ぺきに理解できなかった人でも、中学生になって情報処理力が上がっているでしょうから、今、ふり返ってみれば、つながっていく、ということも多いです。

今さら・・・と思わずに、少し、ふり返ってみましょう。きっと、得られるものがあるでしょう。

 

 

まず、「かけ算の使い方」として、「もとになる数を〇倍するといくつになるか」という使い方と、同時にならい始めるのが、次のような使い方です。

 

「問題1)りんごが1皿に5個ずつのっていて、それが3皿あります。りんごは、合わせていくつありますか。」

 → 答)5×3=15 より 15個

 

最初は、自然数の範囲なので、「(1つ分の数)×(それがいくつあるか)」と扱いますが、小数や分数が出てきても、同じように「(1つ分の大きさ)×(それがどれだけあるか)」というふうに、かけ算が使えることを学びます。

 

また、(1つ分の大きさ)は、5年生になって(単位あたりの大きさ)と一般化されます。

(単位あたり)は(1つ分〔1つあたり〕)と、同じ意味です。

 

このように、「(単位あたりの大きさ)×(それがどれだけあるか)」は、かけ算の使い方の重要な1つといえます。

 

また、3年生でわり算を勉強するとき、わり算には2つの使い方があると習います。

例えば、次のような問題です。

 

「問題2)180dLのジュースを3人で等しく分けると、1人何dLもらえますか。」

「問題3)今、450円持っています。150円のアイスは、いくつ買えますか。」

 

 → 答)問題2:180÷3=60 より 60dL / 問題3:450÷150=3 より 3個

 

問題2は「もとになる数を〇等分するわり算」、問題3は「もとになる数の中に〇〇がいくつあるのかを調べるわり算」です。

 

ここまで、かけ算の使い方を1つ、わり算の使い方を2つ、確認しました。

これを、まとめて一般化するのが小学5年生の【単位あたりの大きさ】の単元です。

比較的簡単な数値で、確認します。例えば、次のような問題です。

 

「問題4)ある印刷機は、3分間で180枚、印刷します。

 ⑴ 1分間あたり何枚印刷できますか。

 ⑵ 5分間では、何枚印刷できますか。

 ⑶ 1200枚印刷するには、何分かかりますか。」

 

⑴:「もとになる数を〇等分するわり算」です。

・・・180dLのジュースを3人で等しく分けるとき、180÷3の計算をすればいいのと同じですね。

   180÷3=60より、1分あたり、 60枚…(答) 印刷できるとわかります。

リンゴ18個を3人で等しくわけるのと同じですね。

 

 これは、単位あたりの量〔1分間に印刷できる枚数〕を求める計算といえます。

 ⑵⑶は、ここで求めた(単位あたりの量)を使って計算します。

 

⑵:「(単位あたりの量)×(それがいくつあるか)」のかけ算です。

・・・1分あたりに印刷できる枚数の60枚に、5分をかければよく

   60×5=300より、5分間で 300枚...(答) 印刷できるとわかります。

 

 

1皿6個ずつりんごがのった皿が5皿あるときのりんごの総数を求める計算と同じですね。

 

⑶:1200枚の中に、(1分間で印刷できる量である)60枚がいくつあるか、考えればいいですね。

  「もとになる量の中に〇〇がいくつあるのかを調べるわり算」です。

・・・1200÷60=20より、1200枚印刷するには、 20分...(答) かかるとわかります。

 

  このわり算は、「(もとになる量)÷(単位あたりの量)」という形になっています。

 

 

 

 

ここまでを、まとめましょう。問題4において・・・

 

⑴ → 単位あたりの量を求める計算

 

⑵ → 単位あたりの量を使ったかけ算

 

⑶ → 単位あたりの量を使ったわり算

 

・・・と、まとめられます。

 

もっとも、これ以外のかけ算・わり算の使い方はあるでしょうし(かけ算は、もう1つ大きいのがありますね。後述します)、たし算・ひき算もありますが、それらは比較的オートマチックに(自然に)扱い方がみえるものなので、特にここらへんを意識しておくのが有効です。

 

〔単位あたりの量〕は、そのご、ずばり〔単位〕という名前に変わっていきます。

算数で扱う【速さ】が、その典型です。

 

 

 

だいぶ、長くなってしまったので、中学数学、文字式の話に移りましょう。(なお、前回のブログ「小5算数 小数のかけ算・わり算の文章題について」で、「速さ」に関する考え方も十分に扱っておりますので、興味のある方は、そちらもご覧ください。)

 

中1数学、「文字式」の導入単元から、次のような問題を考えます。


問5) 次の数量を、文字式の表し方にしたがって表しなさい。

⑴ a mの道のりを、3分間で歩いたときの速さ

⑵ 分速60mで x 分間歩いたときの道のり

⑶ a ㎞の道のりを、自転車で時速18㎞で走ったときにかかる時間

何を言っているのか?わからなければ、図をかいたりして、イメージをつかみましょう。

頭の中だけでできるのならいいですが、できないのなら、そういう操作は必要です。

 

解答に、入ります。

はじめにも書きましたが、そのつど〔単位〕の意味を確認しながら進めれば、何でもないです。

 

 

⑴ 「速さ」:単位時間に進む道のりを求めなさい・・・ということです。

この場合、「3分間で・・・」ということなので、分速(1分間あたりに進む道のり)で表せばいいでしょう。

 

 a mの道のりを進むのに3分かかったので、1分あたりに進んだ道のりは、わり算で求められ a ÷3 ・・・文字式の表し方にしたがって、ということなので、わり算は分数で表し、「分速 a/3m」です。

 

 これは、「単位(あたりの量)〔=速さ〕」を求める計算です。

 

 

⑵ 「分速60m」→1分あたり60m進むということです。

  x 分間に進む道のりは、これに x をかければよく、60× x より、「60x(m)」です。

  「(単位あたりの量)×(それがどれだけあるか)」のかけ算です。

 

⑶ 「時速18㎞」→1時間あたり、18㎞進むということです。

 

 a ㎞進むのにかかる時間は、a kmの中に(1時間あたりに進む)18㎞が、いくつ(どれだけ)あるかを考えればよく、わり算で a ÷18 より、「a/18(時間)」です。

 「(もとになる量)÷(単位あたりの量)」のわり算です。 

 

 

これも結局は、120個のりんごを6個ずつ分けるといくつに分けられるか(120の中に6はいくつ入っているか)という計算と同じですね。(そう見えるようになることが大切です)

 

まだ、わかりにくければ、文字のところに、2分間、3分間、あるいは、36㎞、90㎞など、あてはめて考えてみればいいでしょう。そうやって、一般化できるようになっていきます。



一次方程式、連立方程式:文章題の式の立て方

長くなってしまったので、後は簡単にしておきますが、方程式の文章題で、式を立てるとき、その式の各項は・・・

 

・「(単位あたりの量)×(それがどれだけあるか)」

 

 または・・・

 

・「(もとになる量)÷(単位あたりの量)〔もとになる量の中に〇〇がどれだけ入っているか〕」

 

・・・の形になっています。そういう視点で、見直してみると、つかめることも多いでしょう。

(例:「十の位がx、一の位がyの数 → 10が x 個と1が y 個なので:10x+y」

「x 人が、5人掛けの長いすに座るときに必要な長いすの数 → x 人の中に5人がいくつ入っていれば考えればよく、わり算で:x/5・・・ただし、この種の連立の問題の場合、長いすの方を文字で置いた方が楽な場合が多いです)

 

1つの結論としては・・・

単位あたりの量(単位)を見極める

・・・というのが、方程式の文章題の攻略のポイントと、いえます。

 

 

 くり返しますが、この2つのパターン以外の場合もありますが、そういうのは比較的考えやすいもの(例:xcmより30cm短い → x-30(cm)など)が多いので、心配することはありません。

考えにくいものが出てくる場合もあるでしょうが、それはそのとき、しっかり考えればすむことです。

 

また、かけ算のもう1つの重要な使い方として、「(全体)×(割合)」という使い方もあります。

こちらも、「割合」の問題と言うことは、みればわかるでしょうから(%とか、でてきますものね...)、「割合」として扱えばよいです。

 

(割合を含む問題の扱いなどは、ユーチューブ解説動画なども、参照してください。)


まとめ

算数では、身近にわかりやすいところで・・・ということで、【速さ】が扱われるのですが、その後に向けて〔単位〕の使い方について勉強しておこう、という側面が強いです。

中学になって、【密度】、【圧力】など、さらに高校理科になると、またいくつか〔単位〕が出てきますが、すべて【速さ】と同じような性質をもち、同じように扱えます。

 

単位(1つあたりの量)というのが本当に大切で、小・中・高と段階を追って、身に付けていけるようなカリキュラムになっているということですね。

 

 

以上です。ありがとうございました。

執筆:井出進学塾 井出真歩

 

(等分除・包含除については、こちらの解説記事で、さらにくわしく扱っております。)