共通テスト「化学」全問解説

2022年度(令和4年度)大学入学共通テスト 本試

共通テスト「化学」詳しい解説:2021年度(令和3年度)大学入学共通テスト本試:タイトル画像(イラスト作成:ろぉな)


どこよりも詳しく、わかりやすい過去問の分析と解説(解説動画付き)

 

ご注意)この解説に一通り目を通すと、化学が得意教科になります。

 

他のところが出している解説にくらべ、文章が長めで、誤解されるかもしれないので、ことわっておきますが・・・

 

いずれの問題も、最短距離で解答にたどりつくためのすべを解説しております。

その「すべ」を解説するためには、自然とこのくらいの文章量になります。

 

 

 

共通テスト「化学」で確実に満点をとりたい人、あるいは少しでも取りこぼしを少なくしたい人にも、かなり有益な解説ができたと自負しております。

 

また、化学が得意でない人にも、どういうことに気をつけて勉強していったらよいか?を示す解説になっています。

 

なお、文章での解説だけではわかりにくい人のために、各問いに補足の解説動画を付けています。

こちらも、ご利用ください。

 

第1問 物質の状態

第1問 問1 電子核

最初の問題です。気持ちを落ち着かせるためにも、周期表を書いておきましょう。。

原子番号20(Ca)まででよいです。

後から使うかもしれないので、みやすいところに書いておくといいです。 

原子番号20までの周期表
電子核の配置:K殻、L殻、M殻

電子核は、内側から、K殻、L殻、M殻・・・と名前が付いています。(Kから始まって、アルファベット順。)

 

 原子番号が増えていくにつれて、基本、内側から順に電子が入って行きます。(原子番号は、イオンになっていない元の状態での、持っている電子の数も表しています。)

 

そして、それぞれの殻に入る電子の数は、まさに周期表に現れています。

 


周期表の横の行の1行目(第一周期といいます)、HとHeは、K殻に電子が入って行きます。

Hが1個の電子、Heが2個の電子がK殻に入り、K殻には2個まで電子が入ります。

 

次の2行目(第二周期)から、L殻に電子が入りはじめます。

Liが1個、Beが2個、Bが3個と入って行くので、正解は②のBホウ素になります。

 

選択肢の他の元素の電子配置も、周期表からわかります。

わからなかった人は、各自、確認しておきましょう。

 

正解:②

 

第1問 問2 窒素の含有率(質量パーセント)

窒素の原子量は、最初のページで「14」と与えられています。

 

各窒素化合物のモル質量も与えられています。

「モル質量」というのは、単位〔g/mol〕からもわかるように、1molあたりの質量を表しています。

 

(g/molは、もともとは分数だったのを、分数の棒をななめにして表したものです。分数は、「(分子)÷(分母)」・・・分子の質量〔g〕を物質量〔mol〕でわっているので、1molあたりの質量を表していることになります。)

 

 


なるべく具体的に考えられるように、心がけましょう。この問題でも・・・

・・・1mol あったとしたら・・・で、考えればいいです。

 

さて、含有『率』、質量『パーセント』です。『割合』を考える問題です。

 

ここで、『割合』とは何なのか?・・・次のようにおさえられるとよいです・・・

 

   『割合』とは・・・『分数』のこと  です。

 

どういうことか?・・・みていきましょう。

 

 表の一番上、NH₄Cl(塩化アンモニウム)を例にとり上げましょう。

 

NH₄Cl が 1mol あるとします。その質量は、与えられたモル質量より「53.5g」です。

NH₄Cl の中に、窒素原子(N)は1つ含まれています。

その質量は原子量(原子 1mol あたりの質量)14より、「14g」です。

 

窒素の含有率は、53.5(g)中 14(g)なので、その割合は分数で・・・

14/53.5

・・・これが、割合そのものです。

 

これに「×100」をすれば%で表された割合(百分率)になりますが、そこまですることはないでしょう。

設問には(質量パーセント)とありますが、このまま比べて問題ないです。

 

(NH₂)₂CO(尿素)と(NH₄)₂SO₄(硫酸アンモニウム)は、それぞれ窒素原子(N)を2つ含んでいるので、1molあたりに14×2より、「28g」の窒素を含んでいます。

それに留意して、各元素の窒素の含有率を分数で表すと・・・

NH4Cl・・・ 14/( 53.5 )       (NH2)2CO・・・ 28/( 60 )      NH4NO3・・・ 14/( 80 )      (NH4)2SO4・・・ 28/( 132 )

(分数式は画像なので、スマホでご覧の方は小さくて見にくいと思います。各数値は、自分で書き出してみましょう。)

 

「分数は、分子÷分母」なので、それぞれ分子÷分母の計算をすれば、小数で表され比べやすいです。

 

でも、これもそこまですることないですね。(たいした計算ではないので、やってもいいです。)

 

(NH₂)₂CO だけ、28/60と半分(1/2)近くあり、他のものは半分には遠いです。

これが、答えということでいいでしょう。

 

それでも、まだ不安という方は、工夫してみましょう。

通分して分母をそろえる・・・というのもたいへんです(それなら、小数にした方がよっぽど楽です)。

 

分子は窒素の原子量を元にしているので、14とその2倍である28の2種類しかありません。

分子の方をそろえましょう。

 

(NH₂)₂CO と(NH₄)₂SO₄ の分子・分母をそれぞれ2でわります。(仮にこれらの分母が奇数だったとしても、迷わず2でわりましょう。もともと、NH₄Cl の分母も小数です。)

 

NH4Cl・・・ 14/( 53.5 )    (NH2)2CO・・・ 28/( 60 )=  14/( 30 )     NH4NO3・・・ 14/( 80 )   (NH4)2SO4・・・ 28/( 132 )=  14/( 66 )

分子が同じなら、分母が小さい数ほど大きな数です。

例えば、1/3より、1/2の方が大きいですよね。

 

この中で、分母がもっとも小さいのは、(NH₂)₂CO の30で、やはりこれが正解でよいと確認できます。

 

なお、まだピンときていない方は、計算機でもよいのでそれぞれの「分子÷分母」を計算して確認しておきましょう。

 

正解:②

 

第1問 問3 分圧と混合気体の密度の関係

設問文を熟読することが大切です。

 

 

 

順にみていきましょう。設問文の引用は青字で示します。

 

情報を整理するために、テスト用紙のスペースにAとBの対応表をつくりましょう。


「2種類の貴ガス(希ガス)AとBをさまざまな割合で混合し、」

 

→2種類の気体の物質量がさまざまな割合になるということですが、扱いにくいですね。

 

 こちらで、決めてしまいましょう。

 

 

「AとBで、あわせて1mol」とします。

そして、A が x〔mol〕 あるとすると、Bは (1-x)〔mol〕あることになります。

 

 


 

 

 

 xの範囲は「0≦x≦1」です。Aだけが存在、またはBだけが存在するというパターンもあります。

あわせて1molとかってに決めても、「さまざまな割合」を、すべていい表せられるので、これでまったく問題ありません。(「モル分率」の考え方を具体的にした考え方になります。)

 

 

 

 

 

「温度一定のもとで体積を変化させて、全圧がp₀になるようにする。」

 

→気体の状態方程式「pV=nRT」の T(温度)が一定ということです。

 p₀も一定にするということですね。(もちろんR〔気体定数〕も一定です。 )

 

「体積を変化させ」というのが、やっかいにみえますが、だいじょうぶです。

先ほど、「AとBで、あわせて1mol」 の条件で考えることにしました。

 

気体の状態方程式で、p、R、Tが一定なだけでなく、n(物質量)も1molで一定なので(一定の条件で考えているので)、体積も一定です。(以下、この一定の体積を V〔L〕とします。)

 

なお、「混合気体の全圧は、それを構成する各気体の分圧の和」(ドルトンの分圧の法則〔1801年〕)より、Aの分圧とBの分圧との和がp₀です。

 


表に項目を、付け加えましょう。

気体の状態方程式 pV=nRT において、今、体積 V 、温度 T が一定(もちろん R も一定)の状態を考えています。

 

気体Aの分圧は、Aの物質量 x に比例します。

選択肢のグラフの横軸のAの分圧は、Aの物質量 x のことと考えていいです。

 

 

「元素Aの原子量が元素Bの原子量より小さいとき、」

 

 →これも、使うので与えられているはずです。

貴ガスなので元素の原子量が、その気体のモル質量〔g/mol〕(1molあたりの質量)でもあります。

 

文字を使って表しておきましょう。

 

 

 Aのモル質量を M_A〔g/mol〕、 Bのモル質量を M_B〔g/mol〕 とします。 条件より M_A  <  M_B  ・・・① が、成り立ちます。後で使うでしょう。

 

「貴ガスAの分圧と混合気体の密度の関係を表すものはどれか。」

  

 →「混合気体の密度」・・・と、きました。あまり見慣れないですね。

 

 これを解釈していくのが、この問題です。

 

『密度』なので、体積 V〔L〕と質量 w〔g〕によって決まる量です。

(体積あたりの質量が「密度」です)

  

密度を d〔g/L〕として・・・


 

ただし、今は体積一定の状態で考えています。

ここでは、「密度」は「質量」のみによって、決まります。

(「質量」が大きければ大きいほど、「密度」も大きくなります。)

 

質量 w〔g〕について、みてみましょう。すでに表した文字を使います。

モル質量は 1molあたりの質量なので、それに物質量(モル数)をかければ、それぞれの質量になります。 

モル質量を M_A〔g/mol〕のAが x〔mol〕、 モル質量 M_B〔g/mol〕のBが (1-x)〔mol〕あるので、 合計の質量 w〔g〕は・・・   w=xM_A+(1-x)M_B ・・・②

これを、「Aの分圧」につなげないといけませんが、これも気体の状態方程式より、簡単に行けます。

もう一度、確認しておきましょう。

 p_A V=xRT   V、R、T は一定なので、x と p_A  は比例の関係にあります。 ( x が大きくらればなるほど、p_A  も大きくなります。)

②をxについての関数と考え、xについて整理してみましょう。

w=xM_A+M_B-xM_B      =M_B+(M_A-M_B )x ・・・ ここで、①より M_B>M_A  すなわち、M_B-M_A>0 なので、                    ( )の中からマイナスを出し、次のように変形します。      =M_B-(M_B-M_A )x ・・・ (M_B-M_A )x は正の項なので、-(M_B-M_A )x は負の項です。
 x=0 のとき、p_A  も最小で、p_A=0 ・・・このとき質量、および密度も最大  それから、x すなわち〖 p〗_A  が大きくなるにしたがって、(M_B-M_A )x が大きくなるので質量(密度)は一次関数なので直線的に小さくなっていきます。   x=1 のとき、p_A  も最大で、p_A=p_o  ・・・このとき質量、および密度も最小になります。

よって、正解は④です。

 

正解:④

 

 

よくわからなかった、という人もいるかもしれません。

別解を示します。

 

今度は、「あわせて1mol」とはせずに、正面から計算してみます。

同じような問題で、「縦軸のめもりを答えよ」という設問が出てきてもおかしくないので、こちらもみておきましょう。


第1問 問3 分圧と混合気体の密度の関係 別解

 

やはり、頼りにできるのは、「混合気体の全圧は、それを構成する各気体の分圧の和」(ドルトンの分圧の法則〔1801年〕)です。

 

全圧がp₀で一定とあるので、これはまちがいなく使うでしょう。 

ここから、始めましょう。

Aの分圧を p_A〔Pa〕、Bの分圧を p_B〔Pa〕 とします。

また、全圧と分圧の関係から・・・

 p_o= p_A+p_B が成り立ちます。  また、選択肢のグラフをみると Aの分圧(p_A)が、問われていて、 横軸のめもりには、p_o がふられています。  p_B がじゃまになるでしょうが、これは上の式を変形させて・・・p_B= p_o-p_A・・・①で、いつでも消せます。 

おそらくは、後で消すことになるでしょう。 

また、上と同じく・・・

 Aのモル質量を M_A〔g/mol〕、 Bのモル質量を M_B〔g/mol〕 とします。 条件より M_A  <  M_B  ・・・② が、成り立ちます。これも、後で使うでしょう。

 

次に、「混合気体の密度」について考えていきます。

 

 

『密度』なので、体積 V〔L〕と質量 w〔g〕によって決まる量です。

(体積あたりの質量が「密度」です)

 

気体の状態方程式 pV=nRT の中に、Vはありますが、wはありません。

なければ、つくればいいです。

 

物質量 n〔mol〕は、質量とモル質量によって決まります。

質量 w がどうしても欲しいので、これに変換してみましょう。

 

混合気体の質量を w〔g〕、平均のモル質量をM〔g/mol〕とします。

w の他にMも出てきてしまいますが、これは貴ガスAとBのモル質量から、後で何とでもできるでしょう。

 

混合気体の物質量を n とすると、n は w の中に1molあたりの質量であるMがどれだけあるかを考えればよく、わり算(分数)で、・・・

 

 

n=  ( w )/( M )   〔mol〕

圧力は p₀ で一定、温度も一定なのでそれをT〔K〕とし、気体定数をR〔Pa・L/(mol・K)〕とすると、

気体の状態方程式より・・・

p_o V=( w )/( M ) RT ・・・③

混合気体の密度を d〔g/L〕とすると、d は1L当たりの質量なので、w〔g〕を V〔L〕でわればよく(分数にすればよく)・・・

d=( w )/( V )   なので、   ③を、「( w )/( V )= ~~」の形になるよう、変形していきましょう。

w が、分子にくるので、左辺・右辺を入れかえます。

ついでに分母を払いたいので、両辺に M をかけましょう。

wRT= p_o VM ・・・( w )/( V )  をつくりたいので、両辺を V でわります。/   ( w )/( V ) RT= p_o M ・・・両辺を RT でわります。/ ( w )/( V)  =  ( p_o M )/( RT ) ・・・目的の形が、得られました。/  d=  ( w )/( V )=  ( p_o M )/( RT ) ・・・真ん中の  ( w )/( V )  は、もういらないので、とってしましましょう。/d=  p_o/( RT ) M

RとTは一定、また P₀も一定の値になるようにしているので、このような形にまとめました。

混合気体の密度 d(グラフの縦軸)は、平均のモル質量 M に比例します。

 

でも、まだ答えられませんね。

グラフの横軸は平均のモル質量ではなく、Aの分圧です。

 

一見、とっかかりがなさそうですが大丈夫です。目標をはっきりさせましょう。

平均のモル質量MとAの分圧の関係を調べる(MをAの分圧で表す)ことです。

 

それをふまえ、平均のモル質量Mについて考えていきましょう。

 

平均のモル質量は、AとBのそれぞれの「モル質量」、および「物質量(mol数)の比」によって決まります。このうち、「モル質量」はすでに文字で表し、大小関係も確認しています(上記②)。

 

あとは、「物質量の比」です。

通常、「モル分率」という言葉で説明される内容です。物質量の比から、分圧を求めることが多いですが、ここでは分圧の比から物質量を考えることになります。

 

混合気体の全圧は、構成する気体の分圧の和です。

 

また分圧の比は、構成する気体の物質量(モル数)の比です。

気体の状態方程式 pV=nRT において、混合気体なのでVとTは一定(もちろんRも一定)なので、分圧 p は、物質量 n だけによります。

 

 

「物質量の比」=「分圧の比」でした。

すでに気体A、Bのモル質量は、それぞれ МA〔g/mol〕、 МB〔g/mol〕 、 分圧もそれぞれ、 p_A〔Pa〕、 p_B〔Pa〕 と表しています。  気体Aと気体Bは、「 p_A : p_B 」の割合で存在しています。 全体(全圧)が p_O  (= p_A + p_B )です。  気体Aは全体の  ( p_A  )/( p_(o ) )  、気体Bは全体の  ( p_B  )/( p_(o ) )  だけ存在しています。

これらは、まさにそれぞれの気体の存在割合を示しているので、「平均のモル質量」も、これを使って表されます。

МA〔g/mol〕の  ( p_A  )/( p_(o ) )  の分と、МB〔g/mol〕の  ( p_B  )/( p_(o ) )  の分との和が、平均のモル質量で・・・
M =  ( p_A  )/( p_o  ) M_A+  ( p_B  )/( p_o  ) M_B ・・・⑤

・・・これを④に代入し、Mが消せます。

ですが、その前にもう少し整理しておくとよいです。


①を⑤に代入して、整理します。

M =  ( p_A  )/( p_o  ) M_A+  ( p_o-p_A  )/( p_o  ) M_B = ( p_A M_A  + (p_o-p_A ) M_B  )/p_o  ・・・分母の p_o  は、④に代入した瞬間に消せるので、この形で整理しましょう。/ =  ( M_B p_o  + (M_A-M_B ) p_A  )/p_o ・・・ p_o  と p_A  について、それぞれ整理しました。 /=  ( M_B p_o- (M_B-M_A ) p_A  )/p_o
d=  p_o/( RT )∙( M_B p_o- (M_B-M_A ) p_A  )/p_o   ・・・ p_o  は、すぐに消えます。             =  ( M_B p_o  )/RT-  ( M_B-M_A  )/RT p_A ・・・⑥   d を p_A  についての関数と、とらえたいので、このような形に整理しました。 他の文字はすべて一定なので、 d は p_A  の一次関数です。
p_A  は、0から p_o  まで変化します。   p_A=0 のとき、⑥より、d=( M_B p_o  )/RT  で、これが最大値・・・   p_A  が0から大きくなっていくと、一次関数なので直線的に小さくなっていき、 p_A=p_o  のとき、⑥より、d=( M_A p_o  )/RT  で、これが最小値になります。各自計算してみましょう。   また、( M_B p_o  )/RT>( M_A p_o  )/RT  であることも、M_B>M_A  より、わかりますね。

 

 

第1問 問4 非晶質に関する記述

非晶質の「晶」は、「結晶」の晶です。

 

「非晶質」=「結晶質でないもの」と、おさえてよいでしょう。

 

私は、それほど詳しく理解していませんが、ガラスが光を通すのも「非晶質」だから・・・というのが大きく関係しているそうです。

 

③のような選択肢にも注目ですね。

「二酸化ケイ素=非晶質」のような意味にもとれますが、「非晶質でない二酸化ケイ素もある」という意味にもとれます。

 

もちろん、二酸化ケイ素の結晶構造はみる機会が多いので、後者の意味だろうと分かります。

 

ここに書いてある内容を知らなくても、ガラスの主原料が二酸化ケイ素だということは、知っていた方がよい内容なので、「非晶質」の二酸化ケイ素が光ファイバーに利用されているというのは、ありそうな話だと思えるでしょう。(こういう問題で誤りの選択肢は、はっきり誤っているものなので、細かいところまで気にする必要はありません。

 

②の「アルファモス」は、固体の物質の状態を表す形容詞で、「非晶質」の意味です。

選択肢にあるように、急激に冷やすことで結晶が成長せず(原子が規則的に配列せず)、非晶質になります。

 

アルファモス金属は、「強度が大きい」、「さびにくい」などの、優れた特徴を持っているので、注目しておきましょう。

 

④:ポリエチレンには、枝分かれが多いもの(低密度ポリエチレン)と、枝分かれが少ないもの(高密度ポリエチレン)があります。

 

枝分かれが多いものは結晶化しにくいのでやわらかく、薄膜袋(レジ袋)などに使われます。

枝分かれの多いものは結晶化しやすいので硬く、容器などに使われます。

この選択肢が、誤りです。

 

正解:④

 

第1問 問5a 温度による気体の溶解度の変化

図1の縦軸のめもりの単位を確認しておきましょう。

 

「×10⁻³mol/1L水」・・・わかりやすいですよね。

それぞれの気体が「水1Lにとける物質量」を表しています。

 

気体の場合、固体とは反対で、ふつう温度が高い方がとける量が少なくなります。

炭酸水が、ぬるくなるとか(き)がぬけてしまうことで、実感できますね。

 

O₂(酸素)について、図1をみてみましょう。

 

1Lの水に、

10°では「1.75×10³mol」、20℃では「1.4×10³mol」の酸素がとけます。

 

10度から20度に温度を上げると、1Lあたり

1.75×10³-1.4×10³=(1.75-1.4)×10³= 0.35×10³ より

「0.35×10³mol」の酸素が、水から追い出されます。

 

今、20Lの水に接しているので、とけている酸素の量(物質量)もそれぞれ20倍です。

 

よって、0.35×10³molに20をかければ求める答えです。

 

・・・0.35×10³×20=7×10³ 答えは②になります。

 

なお、細かいところですが、0.35×20の計算を、このまま筆算なんてしないように・・・

20を10でわって、「2」とし、その分0.35を10して「3.5」とすれば、「3.5×2」の計算でできます。

 

正解:②

第1問 問5b

図1より、1.0×10⁵Pa の圧力では、N₂(窒素)は20℃で1Lの水に「0.7×10⁻³mol」とけます。

 

「温度が一定ならば、気体の水への溶解度は、水に接している気体の圧力に比例する」(ヘンリーの法則)を元に考えます。圧力が高ければ、その分たくさんとけるというのは、納得しやすいですよね。

 

はじめとあとで、与えられている圧力は、そのままでは使えません。

N₂:O₂=4:1 を使って、分圧を考えます。

 

全体を4+1より「5」と考えたとき、そのうちの「4」にあたるのが、N₂の分圧です。

〔はじめ〕の状態と、〔あと〕の状態で、それぞれ考えてみましょう。

〔はじめ〕全圧が、5.0×10⁵Pa、そのうちの 4/5(5分の4)が窒素の分の圧力(分圧)です。

 

計算式を示すまでもないですね。この状態で窒素の分圧は「4.0×10⁵Pa」です。

 

図1から、1.0×10⁵Pa で0.7×10⁻³mol とけるので、4.0×10⁵Pa ではその4倍(0.7×10⁻³×4)の「2.8×10⁻³mol」とけています。


〔あと〕全圧が、1.0×10⁵Pa、そのうちの 4/5(5分の4)が窒素の分の圧力(分圧)です。

 

これも計算式を示すまでもないですね。1の4/5(5分の4)は、0.8です。

この状態での窒素の分圧は「0.8×10⁵Pa」です。

 

上と同じように考えられます。

 

1.0×10⁵Pa で0.7×10⁻³mol とけるので、0.8×10⁵Pa ではその 0.8倍(0.7×10⁻³×0.8)の「0.56×10⁻³mol」とけています。

 

その差が、水から遊離して空気中に移動した窒素の物質量です。

 

 2.8×10⁻³-0.56×10⁻³= 2.24×10⁻³

 

よって、「2.24×10⁻³mol」の窒素の体積を求めて答えです。

気体定数R も与えられているので、気体の状態方程式 pV=nRT にあてはめましょう。

 

・・・と思いましたら、「0℃、1.013×10⁵Pa」という条件なので標準状態ですね。

 

1molで22.4Lなので(22.4L/mol)、なので、これに物質量2.24×10⁻³molをかければよいです。

 

後で〔L〕単位から〔mL〕に直す必要があるので、「10⁻³」は、そのままでいいです。(それにしても同じ224という数字列が出てきて簡単に計算できそうなふりをしていて、そうではない・・・というのが意地悪ですよね。)

 

「22.4×2.24×10⁻³」を計算して答えです。


およその値(最も近い数値)を求めよという問題なので、要領よく考える方法もなくはないですが、この程度の計算(22.4×2.24)なので、さっさとひっ算した方が速いでしょう。

 

22.4×2.24×10⁻³=50.176×10⁻³ 

 

よって、およそ「50×10⁻³L」

〔mL〕単位にするにはこれを1000倍(×10³)すればよいので、「10⁻³」が消え、「50mL」となります。

 

正解:③

 




5月くらいを目標に、「高校化学」に関するインスタライブをやってみようかと考えています。

詳細は検討中です。週1回、30分程度を考えています。

興味のある方は、インスタ・アカウントからフォローください。

インスタは始めたばかりなので、フォロバもさせていただきます。


以上です。ありがとうございました。

コメントなどいただけると、とてもうれしいです。

 

執筆:井出進学塾(富士宮教材開発) 代表 井出真歩


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