共通テスト「物理」過去問解説

2023年度(令和5年度)大学入学共通テスト 本試


どこよりも詳しく、わかりやすい過去問の分析と解説(解説動画付き)


第2問 空気の抵抗力を受ける落下運動

問1 運動方程式

このページの穴埋だけと考えても答えられる問題ですが、次のページ(下書きページがあるので2ページ後)の〔先生〕と〔生徒〕の対話の内容と合わせて考えるといいでしょう。

 

終端速度では、力がつり合い等速直線運動をしています。

 

物体を落下させると、重力により物体は加速していきますが、

速度に比例して抵抗力も大きくなっていき、

ある速度(終端速度)で、重力と抵抗力がつりあいます。

 

運動方程式で考えてもいいでしょうね。

 

問題に合わせ、物体の質量を m 、重力加速度を g 、抵抗力の大きさを R とし、

 

物体にはたらく加速度を a (鉛直方向下向きを正)とすると・・・

(複雑な数式は、このHPでは無理なので、一ここから先、一部画像になります。

フォントのちがいは、ご了承ください。)

 運動方程式  ma = mg-R ・・・① が成立します。

 

 抵抗力 R は速さ v に比例すると考えると、正の比例定数 k を用いて、

 

R =  kv

 

これを①に代入し、

 

 ma = mg-kv ・・・②

 

終端速度では下向きの力 mg と上向きの力 kv がつり合っているので、加速度 a=0 です。

設問の方はいいですよね。

物体を落下させると、物体は空気から「逆向き」の抵抗力を受け、抵抗力は速さに比例するので「増加」していき、それにより下向きの加速度は「減少」していきます。

 

正解 ⑥

問2 終端速度の計算

表1より、n=3のとき、下の方では「1.3 s(秒)」と一定の値になっています。

 

これを終端速度としていいでしょう。

 

答えの方の単位が〔m/s〕(=秒速~m)となっています。

20 ㎝ は〔m〕単位に直し、「20×10⁻² m」として計算します。

(「c(センチ)」はもともと「100分の1」という意味です。)

 

秒速(1秒あたりに進む距離)を知りたいので、この 「20×10⁻² m」を「1.3秒」でわればよいです。最初から〔m/s〕の分数の形にあてはめればいいですよ。


 「分母を簡単にする」のが原則です。

0.13を簡単にするために、分母・分子に100をかけましょう。

ちょうど分子の10⁻²も消え、簡単な分数になります。

 

後は、「分子÷分母」で20÷13の計算をし(ひっ算でいいですよ)、有効数字2桁なので「1.5」という値を得られます。


10の指数も入れるので注意ですね。何もないので「0」を入れます。「10⁰=1」です。

答えは、   1.5×10⁰ m/s の形で表されます。

 

正解 9:①   10:⑤   11:⓪

問3 実験結果の解釈

「予想していた結果と異なるのはなぜか?」・・・ではなくて

「予想していた結果と異なると判断できるのはなぜか?」…なので注意です。

 

・・・ここを読み違えると、ムダに時間がかかってしまいます。

 

また、こういう問題で消去法に頼るのは、あまりよくありません。

正面から、しっかり考えて正解の選択肢を選び出しましょう。

「消去法に頼るな!」は、大学入試で正しい心がまえです。

 

 

正面から考えるため、「予想」が何だったかから、確認しておきましょう。

 

14ページの最後の文です。

「v₁(終端速度)は n(アルミカップの枚数=質量)に比例する」…でした。

 

比例のグラフの特徴は何だったか?・・・中学校のときの勉強を思い出しましょう。

 

ここでいうと速度と質量のように、2つの要素をもつ測定値をグラフ上にとったとき、それらの点が…

「原点を通る直線上(直線の近く)にある」とき、

それらの2つの要素には、比例関係がある…といえました。

 

図3をみてみましょう。

 

これらの5つの点は、直線状に並んでいるといえなくはないです。

ただし、その直線は、原点を通る直線にはなりませんね。

 

このことが書かれている②が正解になります。

 

他の選択肢も一応確認しておくと…

① n が増えると vfが増えるのは予想通りです。

③ 反比例はしていません。

④ n が自然数なのは、最初からあたりまえです。

  1枚~5枚まで調べているので「とびとび」とはいえないでしょうね。

 

正解 ②

問4 比例のグラフ

「原点を通る直線」=「比例のグラフ」

 

・・・なので、「y=ax」の形にできれば、原点を通る直線になります。

 

k’ や g など、一定の値のものは、すべて比例定数 a に入れて考えることができます。

頭の中だけでも考えられますが、ここではわかりやすいように式にして考えてみます。

よって、まず④が正解とわかります。

 

また、この式の両辺を2乗して・・・

⑧も正解だとわかりました。

 

正解 ④⑧

問5 実験からの考察

まず、問題の目的を確認しましょう。

19ページの最後の文にあるように、「R と v の関係を示すグラフを描く」ことです。

 

問一でも確認したように、速度 v=0 のとき、抵抗力 R=0 であり、

落下速度が上がるにつれて抵抗力も増加していき、

v=vf(終端速度)で、R=mg となり、加速度 a も a=0 となり、物体は一定の速度で落下するようになります。

v は最大で vf なので、0 から vf までのグラフになります。

v=0 で R=0、v=vf で R=mg なのですが(上図の赤点)、その間がどうなっているかのグラフを描くには?・・・というのが、この問題です。

 

この2つの点の間は、

問1(p14)で仮定したように、R=kv なら直線になり、

問4(p17)で仮定したように、R=k'v² なら放物線になりますが、

 

おそらく、その間を通るような曲線になり、R=kv(抵抗力は速さに比例)と R=k'v²(抵抗力は速さの2乗に比例)のどちらにより近いといえるか?・・・それを調べてみようというのがこの問題です。

 

 

先に〔オ〕の方からみますが、私たちは問1ですでにこれは確認しています。

運動方程式 ma=mg-R が成り立つのでこれを変形して

 

 R=mg-ma ・・・選択肢に形を合わせ…

 

 R=m(g-a) ・・・①   (オは⒞)

 

これにより、抵抗力 R と加速度 a の関係は式に表せました。

 

つくりたかったのは、R と v の関係を表すグラフです。

v と a の関係を調べられれば、v に対応する a を①式に入れ、v と R の関係を調べることができます。

そこで、問5〔エ〕のような作業をします。

 

図4の y-t グラフは、実験で得られた結果です。

Δt(=0.05s)ごとの平均の速さ v を求め図5の v-t グラフが得られます。

 

同様に v-t グラフの Δt ごとの速度の変化を求めることによって、a-t グラフをつくることができます(⒞)。

 

なお、グラフから読み取れる数値から、大ざっぱですが調べてみると、次のような a-t グラフができました。

 

(注:t=0のとき、v=0なので、加速度 a は重力加速度そのままで g としています。)

 

一応、確認しておきますと、

図4の y-t グラフで 0.2s あたりから、グラフは直線状になり、等速直線運動をしていることがわかります。

 

図5の v-t グラフでも、0.2s あたりから速度が一定、a-t グラフでも 0.2s あたりから加速度が0になっています。

 

なお、問題がよくできていることも、確認しておきましょう。

 

〔エ〕の選択肢について、

まず⒝ですが、確かに v-t グラフから終端速度は求められますがそのときの加速度 a は「0」です。

 

よって、R=m(g-a) に a=0 をいれたら、R=mg で一定で v が出てきようがないですね。

上のグラフでも R=mg の水平なグラフになります。

 

⒜も、そもそも「すべての点のできるだけ近くを通る一本の直線」というのに無理がありますが、引けないことはないですし、その傾きから a が求められるというのも、うそではないです。

 

しかし、それによって求められる a は(直線なので)1つの値だけですよね。

よって、⒝と同じように v-R グラフは水平な直線となり、v と R の関係を推測しようがなくなってしまいます。

 

v と a の関係を求めたいという意識があれば、2つとも簡単に消せる選択肢でした。

 

正解 ⑨


第2問は以上です。

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